現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内

ここから本文です

オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内

掲載 18
オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内

大幅なイメチェンが目指された3代目

フォルクスワーゲン・ティグアンは、なんと16年間で750万台も売れた。そこで今回のモデルチェンジでは、大幅なイメチェンが目指されたようだ。2代目以上にインテリアは上質さが追求され、プレミアム・ブランドの水準へ迫っている。

【画像】オススメできない理由がない! 新型VWティグアン サイズが近いSUVと写真で比較 全180枚

お手頃な日産キャシュカイ(旧デュアリス)から、お高めのアウディQ3、北欧のボルボXC40まで、このクラスには迷うほどの選択肢がある。果たして、その中で際立つ強みを獲得しているのか、ツギハギだらけの英国の一般道で確かめてみよう。

「壊れていない部分は直さない」という哲学がフォルクスワーゲンには存在するようだが、新型ティグアンの見た目は間違いなく新鮮。パワートレインのラインナップは見慣れたものでも、同社のトゥアレグをひと回り小さくしたような雰囲気が漂う。

フロントノーズは、最新のIQ LEDヘッドライトを獲得。オプションだが、水平に伸びるデイライトで左右が結ばれ、モダンな顔つきになった。ホイールやボディカラーの選択肢も幅広い。

英国で提供されるトリムグレードは5種類。ベースの他に、ライフ、マッチ、エレガンス、Rラインから選べる。

完全に新しくなったインテリアの注目ポイントは、やはり大きなタッチモニター。通常は12.9インチだが、上級グレードでは15.0インチへサイズアップする。僅かに前方視界へかかってしまうほどの大画面だ。

アウディQ3と比べても見劣りしない車内

インフォテインメント・システムのグラフィックは、このクラスでは最も高精細な部類に入り、反応は正確。メニュー構造も覚えやすいだろう。ただし、表示されるアイコンは小さめで、走行時は触れにくい。

エアコンの操作パネルがモニター下部へ常設され、扱いやすくなったのも美点。送風温度を調整するスライダーにはイルミネーションが追加され、夜間でも迷わなくなった。

そして何より、ステアリングホイールのスポークへ、実際に押せるハードボタンが帰ってきたのが喜ばしい。従来のタッチセンサーは、ヤキモキするほど反応が鈍かった。

センターコンソールには、小さなモニターが仕込まれたロータリー・コントローラーもある。ドライブモードやラジオの音量、間接照明の色などを、手元で簡単に選べる。

インテリアの質感は、先述の通り大幅に上昇。ファブリックは明らかに上質で、手に触れる部分のプラスティック製トリムはソフト加工されている。ソリッド感が足りない部分も多少残るが、アウディQ3と比べても見劣りしないかも。

車内空間は、縦方向に10mm拡大。荷室容量は33L増えた。

2024年として触れておきたい新機能が、チャットGPTに対応した音声操作システム。アイフォンのシリのように、質問すると人工知能がビッグデータを利用し答えてくれる。

フォルクスワーゲンの技術者は、チョコレートケーキの作り方を聞いてみて欲しい、と勧めてきた。確かに、素晴らしい回答が返ってきた。運転中はメモできないとしても。

ディーゼルに代わる有能なプラグインHV

英国仕様のエンジンは多様。マイルド・ハイブリッドのガソリンが2種類に、プラグイン・ハイブリッドが2種類、ガソリンターボが2種類、ディーゼルターボが2種類だ。

その内、ディーゼルターボはトルクが太く安楽。高速道路では、7速デュアルクラッチATの変速を最小限に留め、平穏なクルージングで遠くを目指せる。高回転域では、ザラ付いたノイズが聞こえるけれど。

低い速度域では、ATが変速をためらう場面があり、交差点からの発進時などでもたつくことはある。そんな時は、左側のシフトパドルを弾けば解決できる。

プラグイン・ハイブリッドは、ディーゼルターボに代わる有能な選択肢。最高出力は203psか271psを選べ、どちらも電気だけで99km走行可能。今回は後者を試したが、充分以上にパワフルなことを確認できた。

燃料タンクを小さくした空間へ駆動用バッテリーが載るため、荷室容量への影響はなし。車重も重すぎず、カーブでの安定性も高いと感じた。

内燃エンジンと電気モーターの協調性も良好。エコ・モードを選ぶと、可能な限り電気だけで走ってくれる。スポーツ・モードでは、ガソリンを燃やす機会が増える。

アクセルペダルを踏み込むと確かに速いが、エンジンの回転も相応に高まる。ちょっと上質さに欠け、ノイズは耳障りかもしれない。

最高出力150psの1.5Lのマイルド・ハイブリッドも、高負荷時の印象は同様。とはいえ、基本的には静かで滑らか。長距離ドライブも快適にこなせるはず。不足なく力強く、効率も悪くない。

洗練性と敏捷性を大幅に向上したシャシー

3代目で注目ポイントのもう1つが、シャシーの進化。2バルブ内蔵のダンパーが組まれ、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIも採用するビークル・ダイナミクス・マネージャーと呼ばれる電子制御と統合され、洗練性と敏捷性が大幅に向上している。

ドライブモード次第で、15段階も設定の幅があるとのこと。タッチモニターのメニューで、細かく指定することもできる。

コンフォート・モードが最もソフトで、フレッシュなゴムを挟んだように、傷んだ路面を適度な締りと快適性で通過してみせる。ロードノイズも小さく、石畳でも快適。ファミリーSUVの車内へ、プレミアムな雰囲気が漂う。

同社の技術者は、古いシトロエンのように、魔法のじゅうたん的な乗り心地は狙わなかったという。路面へ追従しつつ、快適性を高めることが目標だったとか。

かくして、乗り心地はしなやかでありつつ、うねるほどではない。ボディロールは見事に抑制されている。むしろ、スポーツ・モードを選ぶ必要がないほど。仕事に疲れたお父さんが、1人で家路を急ぐときなどは、そのモードが良いかもしれないが。

ただし、ダンパーを1番引き締めても、ゴルフ GTIに化けるわけではない。コーナーでは身体が左右に振られ、高めの重心位置を実感させる。

コンフォート・モードのまま、英国郊外の道を飛ばしてみたが、適度に浮遊感のある乗り心地は安定してもいる。カーブでボディは多少傾くものの、不安なほどではなく、正確で好反応なステアリングが運転する自信を高めてくれる。

オススメできない理由は見当たらない

燃費は、ディーゼルターボの平均で18.8km/L。頻繁に充電できる環境なら、プラグイン・ハイブリッドの方が有利ではあるが、価格はお高めになる。

筆者が好印象だったのは、1.5Lのマイルド・ハイブリッド。特に燃費を意識することなく、13.9km/Lの平均燃費を得られた。スキーやキャンプなど、遠くを目指す機会が多い人にはベターチョイスになるだろう。

毎日の素晴らしい相棒になりそうな、3代目フォルクスワーゲン・ティグアン。比較的小さなサイズで、ファミリーSUVへ求められるものをそつなく満たしている。プラグイン・ハイブリッドの実力は、クラス上位にもある。

走行時の洗練性やインテリアの品質は高く、少しスポーティな走りを楽しめるのも魅力。プレミアム・ブランドへ伍するほど、価格価値も高いといえる。俯瞰すると、オススメできない理由は見当たらない。

◯:比較的小さなサイズに大きな実用性 知的なパワートレイン 優れたインフォテインメント・システム
△:チャットGPTはちょっとギミック的 プラグイン・ハイブリッドはお高め やや上質さに欠けるディーゼルターボ

こんな記事も読まれています

可能性は感じる ケド「宿題」も多い オモダ5 プロトタイプへ試乗 1.6Lターボの新型SUV
可能性は感じる ケド「宿題」も多い オモダ5 プロトタイプへ試乗 1.6Lターボの新型SUV
AUTOCAR JAPAN
「ゲレンデ」にも電気の時代が来た! メルセデス・ベンツGクラス G 580へ試乗 破壊的に速い4モーター
「ゲレンデ」にも電気の時代が来た! メルセデス・ベンツGクラス G 580へ試乗 破壊的に速い4モーター
AUTOCAR JAPAN
悪路のスーパーヒーロー ジープ・ラングラーへ試乗 ロックレールで側面衝突に対応 12.3型モニター獲得
悪路のスーパーヒーロー ジープ・ラングラーへ試乗 ロックレールで側面衝突に対応 12.3型モニター獲得
AUTOCAR JAPAN
レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準
レクサスの中国製コピー? 上級ワンボックスEVが英国上陸 マクサス・ミファ9へ試乗 価格なりの高水準
AUTOCAR JAPAN
249km/hに耐えるソフトトップ メルセデス・ベンツCLE 450 カブリオレへ試乗 美しい海岸線を味わいたい
249km/hに耐えるソフトトップ メルセデス・ベンツCLE 450 カブリオレへ試乗 美しい海岸線を味わいたい
AUTOCAR JAPAN
「ルビコン」と「サハラ」は別用途 【ジープ新型ラングラーを早速試乗】 その違いとは?
「ルビコン」と「サハラ」は別用途 【ジープ新型ラングラーを早速試乗】 その違いとは?
AUTOCAR JAPAN
もっと燃費が良ければ理想的! マツダMX-30 R-EV 長期テスト(2) パワージェネレーターが故障
もっと燃費が良ければ理想的! マツダMX-30 R-EV 長期テスト(2) パワージェネレーターが故障
AUTOCAR JAPAN
最高峰の「エンターテイナー」 アストン マーティン・ヴァンテージへ試乗 大アップデートで665psへ
最高峰の「エンターテイナー」 アストン マーティン・ヴァンテージへ試乗 大アップデートで665psへ
AUTOCAR JAPAN
フェラーリSF90 XX スパイダーへ試乗 胸が打たれるほど「公道」で素敵 HVの総合1030馬力!
フェラーリSF90 XX スパイダーへ試乗 胸が打たれるほど「公道」で素敵 HVの総合1030馬力!
AUTOCAR JAPAN
走りを楽しみたい人へ──新型レンジローバースポーツ試乗記
走りを楽しみたい人へ──新型レンジローバースポーツ試乗記
GQ JAPAN
グレー×ブラックの都会派SUV 250台限定 アウディQ2アーバン・シック・エディション
グレー×ブラックの都会派SUV 250台限定 アウディQ2アーバン・シック・エディション
AUTOCAR JAPAN
ジープ・アヴェンジャー 詳細データテスト 低重心ゆえの良好な操縦性 日常的な乗り心地には注文あり
ジープ・アヴェンジャー 詳細データテスト 低重心ゆえの良好な操縦性 日常的な乗り心地には注文あり
AUTOCAR JAPAN
スポーティな新クロスオーバー登場 キア「EV6」航続距離延長 改良実施
スポーティな新クロスオーバー登場 キア「EV6」航続距離延長 改良実施
AUTOCAR JAPAN
【最新モデル試乗】早期輸入熱望! 今度のVWティグアンはモダンでエレガント。走りも大幅に進化している
【最新モデル試乗】早期輸入熱望! 今度のVWティグアンはモダンでエレガント。走りも大幅に進化している
カー・アンド・ドライバー
角張ったルックスを備えた新型ハイブリッドクロスオーバー「ルノー シンビオズ」登場!
角張ったルックスを備えた新型ハイブリッドクロスオーバー「ルノー シンビオズ」登場!
AutoBild Japan
これ1台あればすべてが事足りる──新型メルセデス・ベンツE 220d 4MATICオールテレイン試乗記
これ1台あればすべてが事足りる──新型メルセデス・ベンツE 220d 4MATICオールテレイン試乗記
GQ JAPAN
クルマのインパネ、デジタルよりアナログが使いやすい? タッチパネルと物理スイッチの関係を考察!
クルマのインパネ、デジタルよりアナログが使いやすい? タッチパネルと物理スイッチの関係を考察!
くるくら
スーパーSUVの本命、ついに日本で乗った!──新型フェラーリ プロサングエ試乗記
スーパーSUVの本命、ついに日本で乗った!──新型フェラーリ プロサングエ試乗記
GQ JAPAN

みんなのコメント

18件
  • takumagumo
    匿名のライターの「オススメ」にどれだけの力があるのか。
  • cya********
    そこまでけなされると、持ち上げたくなりますね。
    日本の自動車評論家ではなく、イギリスの評論家が書いているので、それなりの信憑性があると思います。
    悪くない車とみました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

472.7776.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.8697.0万円

中古車を検索
ティグアンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

472.7776.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

35.8697.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村